背景
tmux は複数の端末セッションを一つのウィンドウ内で管理できるターミナルマルチプレクサで、中級者以上の Linux ユーザーにとって欠かせないツールです。長時間動かすプロセスを切断せずにバックグラウンドで実行したり、複数のペインを使って画面を分割しながら作業したりすることができます。また、ネットワーク接続が切れてもセッションを保持できるため、リモート作業の効率が大きく向上します。ここでは tmux の基本的なインストール方法から、セッションの操作、ウィンドウやペインの管理、カスタマイズのポイントまでを紹介します。
手順
1. tmux をインストールする
多くのディストリビューションでは公式リポジトリにパッケージが用意されています。Debian や Ubuntu 系では `sudo apt install tmux`、Fedora では `sudo dnf install tmux`、Arch Linux では `sudo pacman -S tmux` でインストールできます。インストール後に `tmux -V` でバージョンを確認しておきましょう。
2. セッションを作成・デタッチする
`tmux new -s mysession` と入力すると `mysession` という名前のセッションが新規作成されます。作業中にセッションを一時的に離れたい場合は、Ctrl + b を押した後に d キーを押すことでデタッチできます。デタッチしてもセッションは保持されているので、`tmux attach -t mysession` で再度アタッチして作業を続けられます。
3. ウィンドウとペインを使いこなす
tmux 内では複数のウィンドウを作成できます。新しいウィンドウは Ctrl + b の後に c キーで作成し、一覧は Ctrl + b の後に w キーで表示されます。ペインは一つのウィンドウを縦または横に分割する機能で、Ctrl + b の後に % キーで縦分割、" キーで横分割ができます。ペイン間の移動は Ctrl + b の後に矢印キーで行います。また、レイアウトを調整するために Ctrl + b の後にスペースキーでレイアウトを順に変更できます。
4. セッションとウィンドウの管理
不要になったセッションは `tmux kill-session -t mysession` で終了できます。ウィンドウは exit コマンドで閉じるか、Ctrl + b の後に & キーで閉じます。セッション内のウィンドウ名を変更するには Ctrl + b の後に , キーを押して新しい名前を入力します。また、複数のセッションを一覧表示するには `tmux ls` を使います。
5. カスタマイズと便利機能
ホームディレクトリに `.tmux.conf` ファイルを作成すると、デフォルトのキーバインドや表示スタイルを変更できます。例えば prefix キーを Ctrl + a に変更する場合は `set -g prefix C-a` と記述します。ステータスバーの色や内容をカスタマイズしてシステム情報や日付を表示させることもできます。また、プラグインマネージャーの tpm (tmux plugin manager) を導入すると、`tmux-resurrect` や `tmux-sensible` などの便利なプラグインを簡単に追加できます。
まとめ
tmux を活用することで、ターミナル作業の生産性を飛躍的に向上させることができます。セッションを自由にデタッチ・アタッチし、複数のウィンドウやペインで効率よく作業を整理することで、リモート開発やサーバーメンテナンスが格段に捗ります。本記事で紹介した基本操作とカスタマイズの方法を参考に、あなたのワークフローに合った tmux 環境を構築してみてください。