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某オークションサイトで激安購入したMarshall JCM2000 DSL100ですが、JCM2000はトラブルが多いという情報が多かったので製造年月日を調べるとトラブル対象の2003年製造のようでした。これまでのところ故障もなく使えていたのですが、2003年以前製造のJCM2000は回路基盤に欠陥がありEL34パワー管が不良を起こしたり、HTヒューズが飛んだりすることがあるようです。「JCM2000 bias drift」で検索すると色々情報が出てきます。
そんなリスクを知ってしまったので修理できないか調べたところ、2003年より最近の改善バージョンの基盤(JCM2-60-00)に交換するか、修理キットを使う方法の大きく2つが見つかりました。
結論から言うと、今回は修理キットで修理したのですが将来の保険として改善バージョンの基盤も購入しました。私がネットで調べたときはJCM2000のメイン基板(JCM2-60-00)を単体で販売しているショップが無かったので、後々のことも考えてebayから購入しておきました。
修理キットとは?
肝心の修理キットですが国内では販売しておらず、私はhttps://valvetubeguitaramps.com/というサイトからネットで購入しました。送料含めて60.13ユーロ(およそ7,000円)で購入できました。
私が今回実際に購入した商品はこちらになります。
修理キットの内容
- 小さい基盤
- 本体基盤と接続するケーブル
- 基盤を固定する台座?
- ドリルビット(本体基盤の穴あけ作業が必要になります)
- 説明書(英語)
作業の流れ
修理キットの説明書を見ながら作業をすればそれほど難しくありません。ただし、はんだ付けや基盤の穴あけなどが必要になるため、電子工作の経験が無い方、ドリルの穴あけの作業に自信が無い方は止めたほうが良いかもしれません。はんだ付けはともかく、基盤の穴あけは失敗するとやり直しがきかないので大事なアンプを自ら壊してしまう可能性があります。
基盤の取り外し
一番最初にやることは、アンプ本体から基盤を取り外すことです。作業は必ず電源ケーブルやスピーカーケーブル、真空管などを取り外した上で行ってください。JCM2000は基盤が複数あり、それぞれをケーブルで接続しているため作業の前にケーブルがどこに刺さっていたか写真を撮っておくかメモしておくことをおすすめします。また、トランスなど場所によっては電流が流れる場所があるため手袋をするなど感電に気をつけてください。
コンデンサの取り外し
修理キットを取り付ける後は不要となる、メイン基板の↓の47μFコンデンサ2つを取り外します。そのまま付いていても回路上問題はありませんが、この場所に修理キットの基盤を取り付けるため邪魔なので外します。
ドリルで穴あけ
次にパワー管のピン(写真の赤枠部分)を付属のドリルビットを使って穴あけします。DSL100の場合はEL34が4本なので合計4箇所に穴を開けます。作業のポイントとしては、穴あけ前に余分なはんだをハンダ吸い取り線などで除去しておく
ことと、1箇所穴あけるたびにビットの中に削りカスが詰まっているのを取り除く
ことです。私は削りカスを取り除かなかったためにソケットのピンを欠損してしまいました。配線さえできれば良いので大きな問題にはなりませんでしたが。
修理キットと基盤のはんだ配線
修理キットの基盤から出ている赤と黄のケーブルを先程穴あけした4箇所と抵抗の2箇所の合計6箇所をはんだ付けします。接続先を間違えると正常動作しないので、作業後テスターを使って導通確認しましょう。
修理キット基盤の取り付け
4の写真のように修理キットの基盤を台座を使って固定します。両面テープの粘着力があまりないのであらかじめ基盤側を脱脂しておくと良いです。
組み立て
基盤をもとに戻し、アンプを組み立てます。回路が変更されているためバイアス調整をしたほうが良いようです。私の場合はバイアス値が変わっていました。
修理キットによる音質の変化
修理キットは電源周りの回路変更なので音質には直接影響ないと思われます。詳細に計測すると変化があるかもしれませんが、ブラインドテストでわかるような差は無さそうです。
まとめ
JCM2000の新品の基盤がebayで20,000円近くだったので、電子工作がある程度できる方は修理キットを7,000円で購入してみるのが良いのではないでしょうか。特にパワー管が異常に赤くなったり、HTヒューズがすぐに切れるという方は早めに対処したほうが良いと思います。